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7. 後悔先に立たずとはまさにこのこと
……とまあ、決意したところまではよかったが。
翌日も、結局三笠くんに声をかけられないまま放課後になってしまった。
昼休みに声をかけようとはしていたものの、運悪く私がくるみ達から話しかけられてしまい、三笠くんを見失ってしまったのだ。
一応そのあと校内をぐるっと探し回ってみたが、残念ながら休み時間内に彼を見つけられなかった。
そのため今は、教室の掃除を終えた後、三笠くんが校舎から出たところを密かに追いかけて行って、人目がないところで声をかけようかなどと目論んでいる。
一歩間違うとストーカーのようではあるが、致し方ない。
これはただ借りていたCDを返すため。
そう自分に言い聞かせて、なんとかこれからの行動を正当化しようとしていたそんなとき。
バタガタガシャーン、と騒がしい音が教室内に響いた。
「え、なに!?」
「ちょっと何やってんの? ちゃんと掃除してよ」
「してるっつーの。ただ机をまとめて運ぼうとしたらうっかり倒しちゃって中身出ちゃっただけだし」
クラスの中でも真面目な女の子たちが、いつも掃除をサボりがちな男子の筆頭──桐島くんを叱りつける。
それ自体はよく見る光景なので放っておくが、どうやら桐島くんたちがいくつか机を倒してしまい、机の中にあったものなんかが床に散乱してしまったらしい。
横着せずに一つずつ運べば良いものを、まとめて運ぼうとして倒れた。つまり、どの机からどれが出てきたのかも分からなくなってしまっている悲しい状況だ。
……てかあれ私の席も巻き込まれてない? 最悪……。
ちょうど私や三笠くんの席も被害に遭ってしまったようで、私はげんなりした。
「てかこれなんだ? さっき落ちた時やばい音しなかったか?」
「……もしかして割れ物? お前それ割っちゃったんじゃねーの?」
やらかしてしまった桐島くんはとりあえず落ちた物をひょいひょいっと拾っていくが、その中の一つに目を留まらせた。
ほとんどが教科書やノートなど授業に必要な物だったけど、一つだけ袋に入った何か……ってちょっと待って? 桐島くんが手に持っているあの袋って……。
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