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2. 同じものが好きだとは
自分で言うのも何だが、私はクラスの中ではそこそこ目立つグループの中にいると思う。
理由はこの派手な見た目のせい。
いつもきゃっきゃと騒がしく、グループ内は私以外が皆彼氏持ち。
流行にも敏感で、SNSでバズっているコスメや動画があればいち早く話題に上がるようなところだ。
しかし以前、meteorではないのだが、男性アイドルグループが上げた踊ってみた動画が話題になったときの皆の反応がまあひどく。
アイドルなんて……。
オタクってダサいよね。
これがかっこいいの……?
その時はまだ私もmeteorにハマる前で、アイドル事情もよく知らなかったので適当に相槌を打つだけだった。
……後日、SNSで偶然見かけたmeteorのパフォーマンス動画をキッカケに一気にファンになるとは、想像もしていなかったのだ。
でも、そんな過去のやり取りを覚えていたので、友達の誰にも言えなくて、ひた隠しにしていた。
少なくとも高校卒業までは誰にも言わないつもりだった。それなのにこの三笠くんに……。
「あ、あの……このことはその……皆には内緒に……」
不安心からお祈りするように両手を組み、どうにか黙っていて貰えないかと微かな希望に縋ってみる。
三笠くんはいつも一人で、寡黙な印象。
休憩時間中も誰かと話している声を聞いたことがほとんどない。
かく言う私も彼とはほとんど話したことがないのでどういう性格なのかは分かりかねるが、とにかく今は、彼が人の秘密を言いふらすような悪い性格ではないと信じたい。
すると彼は、予想外の事実を口にした。
「……実は、僕も好きなんだよね。meteor」
「……はい?」
そんなことを言われるとは思わず、変な声が出た。
ぼくも好き?
三笠くんもmeteorが好き?
……え、あの三笠くんが?
何度でも言おう。
この三笠くんは、寡黙でクラスでも孤立していつも暗い印象のある男子生徒だ。
そんな彼が、彼とは対照的でキラッキラの、もしや発光しているのかとさえ感じさせるような眩しさの塊である男性アイドルグループが好きと言うなんて誰が予想できただろう。
その事実をまだ私の中で整理できていないのに、三笠くんは話を続けた。
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