3. 友達よりも

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「うーん、今日かあ……」  でも今日は少し都合が悪い。  なにせ今日は金曜日で、meteorの出る特番が夜七時から始まってしまうから。  もちろん録画はしてきているが、やはりせっかくの出演番組はリアルタイムで視聴したいのがファンというもの。  ……いやうん。友達よりアイドルを取るの?と薄情に思われるかもしれないが。  でもだって。  くるみは今年度の一学期だけで二人、二学期に入ってからも既に一人と別れており、その度に散々私が捌け口になっているのだ。  しかもその内容はどれもほぼ同じ。  男側の残念だったポイントをひたすらに挙げていき、後半は自分のどこがダメだったのかと反省が始まり、最後はスッキリとした表情で帰っていくまでがお決まりのルーティーンだ。  そんな流れになると分かっているので、当然のことながら今回もそうだろう。  そうなるだろうと分かっていて、meteorの特番を蹴ってまで捌け口になりに行くかと言うと、という話。  捌け口になること自体は問題ない。話を聞いてあげれば良いだけだから。ただ今日はタイミングがすこぶる悪いだけ。  ……申し訳ないけど、今日は断ろう。 「なに? 予定あるの?」 「うん、ごめん。来週でも良い?」 「そっかあ。じゃあ他の人誘う〜」  来週ならと提案したものの、くるみはどうしても今日誰かに話したかったようだ。  私がダメなら他の人を誘うと。  ……まあ、そんなものよね。 「ごめんね。また今度」 「うん。あ、そう言えばさあ、」  そしてまたコロコロと話題は転換していく。  いつも話題が尽きず明るいグループではあるけれど、全員友達が第一優先ではない。  優先順位が合っているという点では、案外相性は良いと言えるのかもしれない。  以前の私は、放課後一緒に遊びに行くこともほとんどないこのグループで、学校以外の時間が暇で退屈だった。だがmeteorにハマり、生活がそれ一色になってしまうと、放課後自由に動けることがありがたかった。  ……別に、アイドルが彼氏代わりなんておこがましいことは言わないけどね。  でもテレビやSNS、それにライブ。  彼らを見れたら楽しくて、心が豊かになる。  こんなに嬉しいことはない。  オタクとかそういうものとは無縁だった私がここまでどっぷりハマるだなんて、自分でも予想外だった。
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