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4. meteor巡りと言う名のデート
──その夜、三笠くんからMINEが来た。
『明日、空いてたらmeteor巡りしない?』
なんだその楽しそうなお誘いは。
そんなもの、返事は決まっている。
『喜んで!!!!』
しかしそのあと、ふと気づく。
……名目はともかく、男子と二人で出かけるって、デートでは?
生まれてこの方デートなんてしたことがない私。
meteor巡りは楽しみにしつつ、デートだとすると何を着ていけば良いのかと大慌てでクローゼットの中を漁り、部屋で一人ファッションショーを開催した。
***
翌日、三笠くんとは駅前で待ち合わせをした。
……おお、もういる。
結局洋服は可愛すぎず地味すぎずのちょうど良さを攻めて、モカブラウンのワンピースにした。若干ドキドキしながら駅前に到着したところ、既に待っている三笠くんを発見したのだ。
三笠くんの格好は、Tシャツの上にベージュのシャツジャケットを羽織り、下は黒のパンツ。
シンプルなカジュアルコーデといったところか。
制服以外の姿は初めて見たが、思ったよりオシャレなのかもしれない。
「……おはよ」
「あ、おはよう」
変に意識してるなんて思われないように落ち着いた声で挨拶をした。
すると彼も普通に挨拶を返してくれたが、彼は私を見て固まってしまった。
「……」
「? 何か変だったりする?」
私は彼の視線の先を見て、もしや服に汚れでも付いていたか……あるいは万が一にもタグがついてるとか裏っ返しに着てしまっているとかそんな恥ずかしいことになっていないかと不安になりながらチェックしてみる。
「ああ、違うよ。ごめん。ただちょっと……」
「ちょっと……?」
どうやら服に変なところがあるわけではないらしい。
私は首を傾げ、彼を見つめた。
「…………可愛いなって思っただけ、です」
自らも恥ずかしいことを言っている自覚はあるらしい。語尾は尻すぼみで、何故か敬語。そして、彼の耳はほんのり赤く染まっている。
……可愛いのはそちらでは!?
言った本人が照れる姿を見ると、自然とこちらも照れてしまう。
それに私は、男子から面と向かって『可愛い』なんて言われ慣れていないのだ。
軽いノリでなら学校で、チャラい男子たちから何度か言われたこともなくはないけど、こんな風に真面目に『可愛い』と言ってもらえるのは初めてだと思う。
「あ……ありがと」
私もつられて照れはしたものの、一応お礼だけ伝えた。
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