27人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
第二章 送迎ドライバー 3.
「ホテルでは、絶対に口にしないから大丈夫よ。それに今日はお馴染さんだったしね。ほら、子供にってお菓子ももらったのよ」
カレンは屈託なく、嬉しそうに駄菓子を詰め合わせた袋をバックミラーに映す。
デリヘル嬢はコース料金の歩合制だ。指名されれば、指名料金も入る。その代わり、移動の時間は金にはならない。
だから、店で人気の若い女の子の中には遠くに派遣されるのを嫌がり、市外はNGという条件を出す子もいた。
しかし、三十代半ばと店で最年長で、ホームページの写真はかなり加工しないと新規客が入らないカレンは、遠くても呼ばれれば喜んで出かけていく。その人柄もあってか、これが意外と人気だった。
多田の店では、まずドライバーがホテルで客の様子を確認して料金を徴収してから女の子を入れるのだが、初回の客やフリーの客の部屋にカレンが入ると、「写真と違う」「もっと若い子がいい」「細めの子に替えて」と事務所にチェンジの電話がかかってくることがある。
店のシステムでチェンジは可能だ。とはいえ、こんなド田舎では新しい女の子を送るまで客を待たせてしまい、休憩利用でホテル代を払っている客の場合、その分負担が増える。
そこで、多田やカレン本人が「人気嬢だから」「だまされたと思って」と説得してなんとか納得させることが多いのだが、不思議と一度カレンのサービスを受けた客のリピート率は高く、そのまま馴染みになってしまう客が多いから不思議だ。
最初のコメントを投稿しよう!