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カレンが客からもらったおにぎりを食べ終わったタイミングで、車はJ駅に近いマンションの前に着いた。マンションの五階に女の子の待機所があった。事務所はもう少し駅寄りの雑居ビルにある。
「カレンさん、お疲れ様でした」
「ありがとね。朝陽君」
カレンは車を降りて朝陽に手を振ると、マンションの中に消えていった。
朝陽は車を発進させ近くの川の土手まで行って車を停めた。そしてスマホのメッセージアプリで多田に送迎が完了したことを伝えた。次の送迎が入れば、またメッセージが届くはずだ。その間はここで待機することになる。
こうして送迎を何往復かして、最後に事務所で客から徴収した料金を精算して一晩の仕事は終わる。
この日は、市外のラブホテルに二往復、市内の客の自宅とビジネスホテルに二往復した。
やっと解放されて朝の六時過ぎに車で自宅に戻ると、朝陽の自宅敷地の入り口に犬を連れた伊藤知沙が立っていた。
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