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両親は真っ赤になって、「すみません。この子ったら、もう……。お休みの日なのに、お邪魔して――」と、しどろもどろに言い訳する。
子供は正直だ。達也が朝陽に声を掛ける前、小野寺先生の彼女なのか友達なのかと、テーブルで話題になっていたのは明らかだった。
朝陽が挨拶を終え、席に戻ったタイミングで、料理が運ばれてきた。
「どうする? きっと明日には町中、小野寺先生の彼女の話で持ち切りだよ」
新鮮な海鮮丼を口に運びながら、知沙はにやにや笑っている。
「からかうな」
「でも、良かった。これでもう、朝陽にお見合い勧める人はいなくなるよね」
知沙は満足そうに海鮮丼を平らげた。
朝陽は自分への好意を隠そうともしない知沙を、まぶしく見つめていた。
市内見学の最後は、朝陽の勤める学校が見たいと言う知沙の希望で、小学校の前を車で通った。それでもまだ時間があり、これも知沙のリクエストで朝陽のアパートに案内した。
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