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「ま、いいよ、入って」
客は気を悪くするでもなく、ドアを大きく開けた。
部屋やバスルームに隠しカメラがないかをチェックしながら、客と雑談もして挙動不審な点がないか確認する。もう一人、隠れている場合もあるので、トイレもチェックした。
話してみると、外見通り穏やかそうな男だった。カレンを指名したというのも、目の付け所がいい。
話し好きでもあるらしく、営業車で県内を周る仕事で、今日は思いのほか時間がかかってここで泊りにしたと、こちらが聞いてもいないのに話していた。テーブルにはビールの空き缶とグラスがあったので、一杯飲んでいい気分なのかもしれない。
その後、プレイの注意点を説明して、料金を受け取る。カード払いもできるのだが、現金でぴったり支払われた。
車に戻って、カレンにチェンジする。
「三十代後半の、穏やかそうなお客さんでした」
「ありがと。行ってくるね」
カレンはホテルに消えていった。
繁忙期で、次々送迎が入った場合は別だが、基本、終わるまで朝陽はその場に残ることになっていた。都会と違い、市外への送迎だと行って帰って往復一時間以上かかることがあるからだ。
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