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「一応ここらへんじゃいい店だから、かっこは気を付けてこいよ」
いつもアロハシャツの多田に言われるのも不思議な話だが、わかりましたと言って電話を切った。
「高橋先生が来週、うちにみえるって」
階下に行き、台所で朝食兼昼食を食べていると、仕事が休みの母が居間からやって来て言った。
高橋校長は亡き父の同僚で、朝陽が赴任していた小学校の校長でもあった人だ。父の命日やお盆には、父が好きだった日本酒や好物を贈ってくれ、朝陽のことも気にかけてくれていた。
「いつ?」
「今度の金曜日って。校長会があって近くまで来るんですって。夕方になるみたいよ」
今は、前と同じ市の別の小学校で校長をしているはずだ。
「わかった。仕事入れないようにするよ」
本当は仕事が入っていたが、変えてもらえないか多田に頼むことにした。
「そうだ、今日、高校時代の先輩と飯食うから夕飯いらないから」
「そうなの。わかったわ」
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