第五章 見合い 3.

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 しばらく無言が続いたが、やがて美久が口を開いた。 「今、付き合いを申し込まれてる人がいるんです」  仕事で知り合った同い年の男性だという。 「私もまあいい人だなとは思っいたんですけどね……」  しかし、いざ返事をとなると迷いが出てしまった。そんな時、高校時代に憧れていた朝陽が地元戻っていることを知り、会いたいと多田に頼んだのだという。 「だから誰とでも会ってすぐホテルに行くってわけじゃないですから」  美久は笑って言った。 「そんなこと思ってないよ」  正直に話してくれた態度からも、それはわかった。  美久の家の前に着いて車を降りる時、彼女は「今日はありがとうございました。先輩は諦めて彼にOKって言います。だからもうお会いしません」と言った。そして、「先輩も素直になった方がいいですよ」と言って去って行った。
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