第五章 見合い 4.

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「まあ、待っとけ。また誰か紹介するからさ」 「いや、先輩、お気持ちだけで十分ですから……」  朝陽は慌てて止める。  そこに、衝立の向こうから電話番のスタッフが顔を出した。 「店長、例のブルマンからです。寧々ちゃん御指名です」 「よし、俺が代わる」  多田はそう言うと、衝立の向こうへ回り、電話を取る。 「もしもし、店長に電話代わりました。あのね、お客さん、寧々からは乱暴な行為があったためにNGと言われています。このような状態では、他の女の子もご案内できません。はい、はい、結構です。よそへ行っていただいて構いません。はい、失礼しっ」  そこまで言うと、多田は受話器を耳から離して、電話番のスタッフに返す。 「怒鳴って切りやがった。いいか、もしまた電話があっても、今と同じように断れよ」 「はい、店長」  多田は朝陽の元に戻ると、困ったように言う。 「若い客なんだけどさ、とにかく女の子の扱いが乱暴でさ。最初は寧々ちゃんご指名だったんだけどすぐNGが出て、試しにカレンが行ったんだが、ありゃだめだってカレンが言うんで、うちじゃNGにしたんだ」
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