第五章 見合い 4.

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 女の子からNGが出ると、次からは指名が入っても予約を入れないようにする。あまりにもひどい客の場合は店全体でNGにする場合があることも朝陽は知っていた。  ただその場合も、「今、予約がいっぱいで……」と相手の気分を損ねないようやんわり断るのが普通で、あれだけはっきり多田が断るというのは珍しかった。 「ホント、しつこくてさ。寧々を寄越せって電話かかってくるんだよね。なんか、素人っぽい可愛い子が好みらしいんだけど、カレンの話じゃかなりの変態野郎さ」 「大変ですね……」  多田がカレンを守るだけでなく、頼りにしている様子がうかがえて、朝陽はなんだか嬉しくなる。 「あ、それと……」  朝陽は金曜日の仕事を休ませてもらえないか頼む。 「OK。お前、土曜休みにしてたな。じゃあ、土曜日と交換はどうだ? ヤマちゃんが土曜日休ませてくれないかって言ってたから」 「それでいいです。助かります」 「じゃあ、変更しておくよ。じゃ、朝陽、今日も頼むな」  多田の声に送られ、朝陽は待機するために車に戻った。
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