第一章 雪山の夜 3.

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「お前もこの男と同じ目に合わせてもいいが、まだ子供だから助けてやることにした。だが、お前がもし今夜のことを誰かに話したら命はないと思え……」  朝陽はあまりの恐ろしさに気を失ってしまった。  次に目が覚めた時には明るくなっていて、母が枕元で朝陽の名を呼んでいた。  母は昼近くになっても戻らない夫と息子を心配し、自分の軽自動車では夜に降った新雪の山道を登るのは無理と判断して、村の駐在に助けを求めた。そして、駐在所の四駆車に同乗して山の家に駆け付けたのだった。  そこで最愛の夫の遺体と対面した母のショックは計り知れない。すぐに駐在が医者を呼んで検視が行われたが、不審な点はなかったようで、急性心筋梗塞と診断された。  父と一緒にいた朝陽は、駐在や母から、何か変わった様子はなかったかと代わる代わる聞かれたが、朝陽は決して雪女のことは話さなかった。  父は病死とされて、その後手厚く葬られた。  楽しみだった山スキーデビューの日は、最愛の父の命日となってしまった。
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