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第六章 焦燥 2.
「やはり、そうか……」
高橋は納得したように言った。
「もっと早く気づけばよかった。君が学校を去ったあと、あんなに情熱を注いで生徒達に向き合っていた君が燃え尽きたようになった理由を何度も考えてみたがわからなかった。自分のせいだと責任を感じて、心の中で君のお父さんに何度謝ったか知れない」
朝陽はそれを聞き、自分がどんなに酷いことをしたか今になって悟った。世話になった父の親友に、きちんとした理由も伝えずに辞めた。それは後ろ足で砂をかけたも同然のことだった。
「一方で、あんなによくやってくれていた君が、どこで躓いてしまったのかが謎だった。確かに夏休み明け、君に何か異変があったことは感じていたんだ。それが……」
高橋は、夏休みを境に朝陽が変わったことに気づいていたのだった。
今年から高橋は市の伝統芸能保存会の、教職員OB会の取りまとめ役を担当していた。保存会の記念行事開催の案内出すのにOB名簿を確認していて、OBだった真知子の結婚後の住まいが朝陽の生まれ育った市であることを知る。そして住所を照らし合わせてみて、両家が隣同士であることに気づいたのだという。
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