第六章 大切な人 2.

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 朝陽はスピードを上げるが、ホテルの少し手前でカレンが叫ぶ。 「朝陽君、ちょっと停めて」  朝陽が慌ててブレーキを踏み車を停めると、カレンはバッグを持ち車のドアを開ける。 「私が一緒はまずいよ。私、あいつに顔が割れてるからね。降りて様子を見てるから」  カレンは朝陽がこの商売と関わりがあることを、隠してくれるつもりのようだ。 「カレンさん……すみません」 「いいから、ほら急ぎなさい」  カレンはそう言って車を降りると、ホテルの中へ入っていった。  朝陽は車を発進させ、駐車場の少し先に車を停める。ちょうど駐車場側にあるホテルの出入口の前で、知沙が男に手を掴まれ中に連れ込まれそうになるのを必死に抵抗していた。 「知沙!」  車を降りて名前を呼ぶと知沙は驚いて朝陽を見るが、すぐに「朝陽……」と名前を呼んで相手の手を振り切り、朝陽の胸に飛び込んできた。
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