第六章 大切な人 3.

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第六章 大切な人 3.

「なんだ、君は」  青山が朝陽の前につかつかとやって来て怒鳴る。 「彼女の知り合いだ。今、車ですれ違って追ってきた」 「何か問題があるのか。僕と彼女は結婚前提に付き合っている。邪魔される筋合いはない」 「彼女は嫌がってるんじゃないのか? まだ会って間もないのに、無理やりは卑怯だ」 「結婚を急ぎたい事情があるのは彼女の方だ。それに、これは同意の上だ。そうだよね?」  青山は平然と言うが、知沙の弱みに付け込んでいるのは明白だった。 「そうなの?」  朝陽は知沙に聞く。  知沙はいやいやをするように首を振る。 「食事のあと、少しドライブしようって車に乗ったらここに……」  信じて欲しいというように、朝陽を見上げて続ける。 「結婚を急ぎたいなら、婚約前に相性を確認したいって……」  そう言われて車から降ろされ、強引に連れ込まれようとしていたと言う。 「なんだそれ。お前、変態か」  思わず朝陽は変態という言葉を使ってしまい、しまったと思う。青山の顔が怒りで真っ赤になった。 「付き合っている彼女とどこへ行こうが自由だろ。お前は彼女のなんなんだ」
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