第七章 大切な人 4.

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「それは……」  しばらくの沈黙のあとで、知沙が口を開く。 「それは、朝陽が学校の先生を辞めたことにも関係あるの?」 「……」  朝陽の無言が、肯定を示していた。 「そっか……。私は、朝陽は先生の仕事が一番合ってると思う。もし、戻れるなら戻ってほしい」  それからは当たり障りのない話が続き、やがて車は知沙の家の前に着いた。  既に日付は変わって、午前一時近かった。 「朝陽、本当は今夜仕事だったんでしょ?」 「うん」 「だったら帰ってこなくても、おばさん変に思わないよね。今夜は一緒にいてほしい」 「知沙……」  それはダメだと言おうとした。 「わかってるよ。でも、そんなのじゃなくて、ただ一緒にいて欲しいだけ。昔みたいに」 「昔みたい?」 「うん。小さな頃、よくお泊まり会やったじゃない? お互いの家に泊まって、遅くまで遊んでたの、覚えてない?」  それは朝陽も覚えていた。
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