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「それは……」
しばらくの沈黙のあとで、知沙が口を開く。
「それは、朝陽が学校の先生を辞めたことにも関係あるの?」
「……」
朝陽の無言が、肯定を示していた。
「そっか……。私は、朝陽は先生の仕事が一番合ってると思う。もし、戻れるなら戻ってほしい」
それからは当たり障りのない話が続き、やがて車は知沙の家の前に着いた。
既に日付は変わって、午前一時近かった。
「朝陽、本当は今夜仕事だったんでしょ?」
「うん」
「だったら帰ってこなくても、おばさん変に思わないよね。今夜は一緒にいてほしい」
「知沙……」
それはダメだと言おうとした。
「わかってるよ。でも、そんなのじゃなくて、ただ一緒にいて欲しいだけ。昔みたいに」
「昔みたい?」
「うん。小さな頃、よくお泊まり会やったじゃない? お互いの家に泊まって、遅くまで遊んでたの、覚えてない?」
それは朝陽も覚えていた。
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