第七章 大切な人 4.

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 まだ、父が生きていた頃のことだから、朝陽が小学1年の夏までのことだ。  母親同士が仲が良かったので、お泊まり会と称して、夕飯とお風呂を済ませてからどちらかの家に泊まりに行って、遅くまで遊んで一緒に寝るというを長い休みの時にやっていた。朝陽の家に知沙が来ると、父が面白いゲームやなぞなぞで遊んでくれた。  知沙の家では……。 「そういや、知沙の家ではよくボードゲームで遊んだな」 「うん、そうだね。懐かしいなあ」  知沙の家には、人生ゲームや、いくつかのボードゲームがセットになったものがあって、知沙の父や母と四人で遊んだっけ……。 「今日は一人になるのが嫌なの。朝までゲームしよう。ね、お願い」  知沙が泣きそうな顔で言うので、朝陽も根負けして車を知沙の家の敷地に入れた。 「陽が登る前には帰るからな。車が知沙の家にあるのをうちの母親が見つけたら、勘違いするから」 「うん! わかった。それでいいよ」  知沙はすっかりご機嫌になって肯いた。
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