第七章 大切な人 5.

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第七章 大切な人 5.

「懐かしいな」  朝陽は知沙の家でまず愛犬の太陽の熱烈な歓迎を受けたあと、一階のリビングルームに入った。  最後に知沙の家を訪れたのは小学生の高学年の頃だったろうか。  知沙の父の身体が不自由で、家の中でも杖をついてゆっくり歩いていたほどだったから、椅子に座れるよう部屋は洋室に改装されていた。革張りのソファとテーブルがあり、隣のキッチンとつながっている。  ソファもサイドボードも昔のままだ。それなのに思っていたより小さく感じるのは、朝陽が大きくなったからだろう。 「座って待ってて。今、ゲーム持ってくるから」  知沙はそう言うと、二階の自分の部屋に上がっていった。  真知子に持っていくのだろうか。バスタオルやタオルが綺麗に洗濯され折り畳まれてテーブルの上に置かれていた。横にはメモがあり、りんご、うがい薬、女性向けの雑誌名など、真知子に頼まれた品物がリストになっていた。  部屋を見回すと綺麗に片付けられており、真知子が入院してしばらく経つ中、知沙が一人で頑張っている様子が見てとれた。 ――ワォン、ワォンーー  足元で太陽が、『一人じゃない、僕も頑張っている』とでも言うように吠える。 「ごめん。そうだよな。お前が知沙を守ってくれてるんだったな」  朝陽がそう言って撫でると、太陽は満足したように朝陽の足元に伏せた。
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