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第七章 大切な人 6.
「知沙は大事な一人娘だろ。さすがに幼馴染とはいっても異性だから心配になるんだよ」
しばらく間が開き、朝陽はそう答えた。
しかし、それについて知沙は何も反応しなかった。
もしかしたら……。もしかしたら知沙は、真知子が朝陽に冷たくなったことと、朝陽が真知子と話したいと言っていることに関係があると、気づいたのかもしれない。
真夜中のゲーム対決が終わると、どちらからともなくお腹が空いたと言い出し、二人でキッチンに立つ。
知沙が食器棚の下の段から、豚骨味と味噌味のカップラーメンを2個取り出す。
「ひとりだと面倒な時があるから、買い置きしてたんだ。どっちがいい?」
「どっちでもいいよ」
「じゃあ、私味噌!」
お湯を沸かし、カップに注いで待つこと5分、さて食べようとなった時に、「やっぱり、私、豚骨がいい」と知沙が言う。朝陽が「ほら」と譲ると、知沙はニコニコして豚骨味の方を食べ出す。
「ほんと、知沙はわがままだな」
味噌ラーメンを食べながら朝陽がからかうと、知沙が微笑む。
「うん。私わがままだよ。でも、朝陽にしか言わないよ、こんなわがまま」
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