第八章 雪女の正体 1.

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「お母さんに話したよ。昨日のことも全部」  お見合い相手とのデートの顛末も話したという。 「今日の午後なら、いつでも朝陽に会えるって言っていたよ」 「わかった。じゃあ、三時くらいに行くよ」 「お昼食べたらまた病院に行くから、そう伝えるね」  知沙はそう言うと、家に戻っていった。  その日の午後、朝陽は真知子が入院する病院へ向かった。六階にある緩和ケア病棟は、面会時間に制限がなく、いつでも面会可能だった。  病棟は他の階と違い明るい内装にリフォームされ、ところどころに風景画が飾られていた。病室は全室が個室になっており、談話室なども用意されていて、患者がリラックスして過ごせるようになっている。  知沙に聞いていた病室番号を頼りに真知子の個室を訪ね、ドアをノックすると知沙が迎えてくれた。 「お母さん、朝陽が来たよ」  招かれて中に入る。久しぶりに会う真知子はかなり痩せていたが、体調は悪くないということだった。ただ、朝陽を前に少し緊張している様子が見えた。 「真知子おばさん、お久しぶりです」 「朝陽君、わざわざ来てくれてありがとう」 「朝陽、座って」  知沙がベッドの近くに椅子を持ってくる。 「知沙、おばさんと二人で話したいから、席をはずしてくれないか」  そこで朝陽は知沙に向かって伝える。 知沙は何か言おうとしたが、真知子にも肯かれて、「わかった。ナースステーションの前の談話室にいるね」と言うと病室を出ていった。
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