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「恥ずかしいけれど、私は親友と呼べる女友達を持ったことがなかったの。でも、紘子さんとは違った。その後も夫で苦労する私を助けてくれたし、私も旦那さんを亡くした紘子さんを助けてきた。紘子さんはとても大切な人なの。だから、二人の友情が壊れてしまうのはなんとしても避けたかった」
あの雪女が真知子であることに朝陽が気付き、それを母親に話してしまうのを真知子は恐れた。
「紘子さんがそれを知ったら、きっと黙っていた私を、夫の死を放置して去った私を許してくれないと思ったから……」
「それが、僕を遠ざけた理由ですか?」
朝陽は尋ねる。
「ええ。そうよ。朝陽君がいつ雪女の正体に気づくか、それが怖くてなるべくあなたに会わないようにしていたわ。どんどん私に似てくる知沙も、あなたから遠ざけた……」
「では……では、知沙はおじさんとおばさんの子供なんですね?」
朝陽は確認する。
「当たり前です」
真知子はそう言ってから、朝陽の質問の真意に気づく。
「朝陽君、あなた、まさか知沙が私とあなたのお父さんの間にって……?」
漸く、真知子は朝陽の疑念を知ることとなった。
「お父さんとは、結婚後はもちろん、結婚前だって何もなかったのよ。私の青春時代の清らかな思い出なの」
それを聞いて、朝陽はふーっと安堵のため息をついた。
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