0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
彼女は練習曲を弾きこなすほどピアノがうまかった。
顔は可愛かったし、弟子入りしようかな?
僕は直接言うのが恥ずかしいので
同じクラスの子に頼んで、紹介してもらう事にした。
「こちら、元子ちゃんよ。」
「僕は、六郎っていいます。よろしく」
「元子です。よろしく」
「元子ちゃん、ピアノ教えてほしいんですが?」
「ええ?私は習ってるだけよ。」
「いやあ、友達でピアノ弾いてる男の子っていないんだ。だからお願いしようと思って」
「困ったなあ。わたし教えられへんよ」
「じゃあ、元子ちゃんと六郎君の近所に田代会館があるから、そこでピアノおそっわったら。」
そうしよ、そうしよ。
ということで、僕は元子ちゃんにピアノ習おうと言う事になったんだ。
女の子と二人でピアノに向かうのって照れ臭かった。
でも逆に嬉しかった。
彼女は、まずピアノを弾くときは、生卵を軽く持ってる様な手の形にするのよ、
って教えてくれた。
え?生卵?
僕は早速家に帰って、鍵盤の上で生卵を持ってみた。
ものの見事にそれは潰れて、鍵盤に卵の中身が出てしまった。
これは大失敗だ。
最初のコメントを投稿しよう!