元子ちゃんとピアノのお稽古

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彼女は練習曲を弾きこなすほどピアノがうまかった。 顔は可愛かったし、弟子入りしようかな? 僕は直接言うのが恥ずかしいので 同じクラスの子に頼んで、紹介してもらう事にした。 「こちら、元子ちゃんよ。」 「僕は、六郎っていいます。よろしく」 「元子です。よろしく」 「元子ちゃん、ピアノ教えてほしいんですが?」 「ええ?私は習ってるだけよ。」 「いやあ、友達でピアノ弾いてる男の子っていないんだ。だからお願いしようと思って」 「困ったなあ。わたし教えられへんよ」 「じゃあ、元子ちゃんと六郎君の近所に田代会館があるから、そこでピアノおそっわったら。」 そうしよ、そうしよ。 ということで、僕は元子ちゃんにピアノ習おうと言う事になったんだ。 女の子と二人でピアノに向かうのって照れ臭かった。 でも逆に嬉しかった。 彼女は、まずピアノを弾くときは、生卵を軽く持ってる様な手の形にするのよ、 って教えてくれた。 え?生卵? 僕は早速家に帰って、鍵盤の上で生卵を持ってみた。 ものの見事にそれは潰れて、鍵盤に卵の中身が出てしまった。 これは大失敗だ。
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