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僕らは、近所の河原でよく喋った。
「六郎君は、将来何になるの?」
「うーーん、前は電車の運転手だったんだけど、今は飽きたね」
「ピアニストにはならないの?男性ピアニストってカッコいいじゃん!」
「もっと練習しなきゃだめさ」
「そうねえ。」
「元子ちゃんは何になるの?」
「まだ決めてない。ピアニストにもなりたいわ。」
そう言いながら、小道の小石を川に投げていた。
すると、自転車連れの友達数人が
「あ、アベックじゃ、アベックじゃのう」
って茶化してきた。
「あんなん相手せんときや」
ふと、元子ちゃんの横顔がすごく可愛かった。
そこで「キスしていい?」
って訊いたら、頷いたのでその通りにした。
それから、小学校が終わると、別々の中学校に通わな刈ればならなくなった。
「さよならは言わないよ。近所に住んでるんだからね。これからもピアノ頑張ろう」
お互いそう言い残して、二人は別の中学校に通った。
そうこうするうちに、僕は中学校で不良化(実際は不良ではないと義一さんの娘さんらが証言している)し、ピアノの名手だった元子は何故だか走らないが、武道の方に進んだ。
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