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バスから降りて、しばらく歩いていると咲耶の働く営業所が見えてきた。
その手前で後ろから「おはよう」と声を掛けられた。
振り返ると同期の伊藤賢治だった。
「あ、伊藤君おはよう」
「お前、火曜日結局何時まで残ったの?」
賢治も休日出勤していた。
「九時ぐらいかな」
「そっか、ごめんな。俺、顧客から突然電話が入って先に会社出ちゃったから。最後まで付き合ってやるって言ってたのに」
「全然いいよ」
火曜日は偶然出勤した賢治と、折角だから一緒に宅建の試験対策をしようと言っていたのだった。
「昨日は休めたか?」
伊藤君、吉岡君と同じこと言ってる…
咲耶は思わず笑みが溢れた。
「どうかした?」
「う、ううん。まあ少しは休めたよ。一日しかなかったけど。伊藤君は?」
「俺も似たようなもんだ」
その後、咲耶は賢治と会社まで話しながら向かった。
同期の賢治とは同じ営業所で勤めている。賢治はそこまで愛想がいいわけではないが、スッキリとした整った顔立ちなので会社の女の子たちから人気があった。
咲耶とは同じ営業職の同期ということで今朝のように、割りと親しげに話し掛けてくれた。彼は総合職で採用されたバリバリの人なので頼もしくもあった。
会社に着いた。
また一週間頑張るか。
咲耶は気合いを入れ直したのだった。
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