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大通りに面したオフィスビルが立ち並ぶ一角でふと足を止めた。
1階のギャラリーで催されている展示会のポスターに引きよされる感覚に襲われる。
真っ赤な太陽を水面下から見上げた様な構図に胸の奥がドクリと鈍い音を立てた。
なぜか懐かしく、なぜか愛おしく感じるそのポスターを暫くその場で眺めていた。
「よろしければ店内でご覧になりませんか?」
顔を上げると漆黒の闇を思わせる長い黒髪の綺麗な人にガラス扉を開けた出入口から声を掛けられた。
「こちらの作品は今回の展示会のために作者が描いたものです。よろしければ」
柔らかな微笑みを向け店内へ手招きされる。
「ありがとうございます」
私は吸い込まれるように店内へと足を踏み入れた。
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