紅花紬の物語

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着物は再び、待つことにした。 なんとなく、この孫娘が再び衣装箪笥を開けてくれるような気がした。 その日がいつになるかは、分からない。 待つのは苦ではなかった。もうさんざん待ってきたのだから。 着物はまた、衣装箪笥の中で眠りにつこうとしていた。 引き出しの中のに、温かい枯葉の香りが混じっている。 大きく息を吸って——。 彼女と一緒に、銀杏並木を歩いた。
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