7人が本棚に入れています
本棚に追加
病気は治ったんじゃないのって、ロウに聞いたら、とりあえず死なない程度にしか治ってないって言われた。
「死なない程度って…。ミヤちゃん…」
「しょうがないだろ。常識が通用する範囲でやるとなると、これが限界だ」
ミヤちゃんは改札を通ってホームに出た。
そこでベンチに座りこんでしまっている。
電車が来た。ミヤちゃんはよろよろとそれに乗り込んだ。でも、優先席も空いていない。
ロウが言う。
「タカギ先生が働いてる病院に行くには、一時間半くらい乗らなくちゃいけない。ま、そのうち座れるだろ」
でも、結局、ミヤちゃんは座ることができないまま、三十分後に自力で電車を降りた。具合が悪くなってしまったのだ。
今は、またホームのベンチでぼんやりしている。
「会いに行って、どうなるものでもないよね…。むしろ行かないほうがいいよね…」
ミヤちゃんが小さな声で呟いた。
よろよろと立ち上がって、エレベーターのほうに歩いて行く。
「ご気分が悪いんですか?」
駅員さんがミヤちゃんに声をかけたが、ミヤちゃんは大丈夫ですと笑顔で答えると、さっさとエレベーターに乗ってしまった。
そして、別のホームに移動して、そこから電車に乗った。
最初のコメントを投稿しよう!