4.

4/4
前へ
/20ページ
次へ
 病気は治ったんじゃないのって、ロウに聞いたら、とりあえず死なない程度にしか治ってないって言われた。 「死なない程度って…。ミヤちゃん…」 「しょうがないだろ。常識が通用する範囲でやるとなると、これが限界だ」  ミヤちゃんは改札を通ってホームに出た。  そこでベンチに座りこんでしまっている。  電車が来た。ミヤちゃんはよろよろとそれに乗り込んだ。でも、優先席も空いていない。  ロウが言う。 「タカギ先生が働いてる病院に行くには、一時間半くらい乗らなくちゃいけない。ま、そのうち座れるだろ」  でも、結局、ミヤちゃんは座ることができないまま、三十分後に自力で電車を降りた。具合が悪くなってしまったのだ。  今は、またホームのベンチでぼんやりしている。 「会いに行って、どうなるものでもないよね…。むしろ行かないほうがいいよね…」  ミヤちゃんが小さな声で呟いた。  よろよろと立ち上がって、エレベーターのほうに歩いて行く。 「ご気分が悪いんですか?」  駅員さんがミヤちゃんに声をかけたが、ミヤちゃんは大丈夫ですと笑顔で答えると、さっさとエレベーターに乗ってしまった。  そして、別のホームに移動して、そこから電車に乗った。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加