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5.
あの後、ミヤちゃんは電車を乗り換えて、駅からはタクシーに乗って、自分の家に帰ってきた。
わたしが逃げ出してきた家だ。
タカギ先生のところに行くのはやめにしたらしい。わたしはちょっと安心する。こっちのほうが近いしね。
ところが、家の周りに足場が組まれてシートが掛けられていた。何かの工事をしているようだ。
「何?これ…」
シートの隙間から家の様子が見えた。カーテンも畳も無くなってて、がらんとしている。
「何の工事をしてるんですか」
工事をしている人にミヤちゃんが尋ねると、解体と新築工事ですと、工事の人は答えた。
「この家の人達は…、ああ、いえ。いいです」
ミヤちゃんがスマホでお母さんに電話をかけると、すぐにつながった。
お母さんは驚いていた。
ミヤコ、今家に来てるって、どうして?ああ、連絡してなくてごめんなさい。でも、ミヤコはずっと入院してたから。
「何で勝手にこんなことしたの?私の部屋は?亡くなったおじいちゃんとおばあちゃんのものは?」
お母さんは、ミヤちゃんを近くのファミレスに来るように言った。お母さん達は、今は別の家に住んでいるらしい。
「半年のタイムラグのせいさ」
ロウが平気そうな顔で言う。
「昨日まで、ミヤコは死んでたんだ。それも半年前に。相談がなくて当たり前だ」
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