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「実はミヤコは、できるだけ早くここを出なきゃいけない。ここにいる資格はもうなくなったから」
「えっ、どうして?」
「ホスピスは治る見込みがない人のためのものなんだ。ミヤコはもう治ってるだろ?」
そうなのか…。
ずっとここに二人で住めるんだと思ってた。
「じゃあ、わたしとミヤちゃんは、これからどこに住むの?」
「多分、自分の家…だろうな」
ロウはちょっと心許なそうな顔で答えた。
そこまでは考えてなかったな。
「リリも住んでた家だよ。ミヤコの親と妹の家」
ああ、あの家か…。
しばらくすると、ミヤちゃんは泣きやんで朝ご飯を食べた。
ミヤちゃんがぽそりと呟く。
「タカギ先生も、もうここにいないんだよな…」
えっ?!タガキ先生がいないって、何で?
ロウが言う。
「ああ、あの医者な。今は別の病院で働いてるよ」
タカギ先生は、ミヤちゃんの彼氏だ。年はミヤちゃんと同じくらい。優しくて、かっこよくて、笑顔が素敵で…。
「そいつ、彼氏じゃないよ。ただの医者だよ」
「彼氏じゃない?」
「リリにはそう見えたんだろうな。ミヤコが半分冗談で、”彼氏になってください”って言って、タカギ先生も全部分かってて”いいよ”って言ったし」
「だから、それって彼氏でしょ?」
「違うよ。リリには難しいかもしれないけど」
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