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「ばあさん、どこへ消えてしまったんだよ」
とりあえず、いったん自宅に戻ってみることにしよう。
だいぶ疲れてきた幸助だが、それでも速度を落とさず自宅までの道のりを急いだ。
玄関に入ってみたが、良子の赤い靴はやはり見当たらない。
もう一度、外を探してみることにした。
一応、携帯電話を持っていこう。
しかし、寝室のテーブルの上には携帯電話が見当たらない。充電器はちゃんとあるのに……。
運の悪いことに自宅の固定電話は、すでに撤去してしまっていた。
「携帯電話、どこにやったかな。まあ仕方ないな」
今度は、どこを探せばいいのか。
やはり書店までいってみるか。少しばかり距離があるが、ほかに思いつくところもない。
書店は自宅から一キロほど離れた小学校のすぐそばにある。
良子の足で、あそこまでいくのはちょっと考えにくいが、途中で倒れたりしているのかもしれないと思うと、気が気ではない。
そろそろ小学生が下校する時間がきていた。ランドセルを背負った子供たちが、はしゃぎながら歩いているのを見かける。
その中に妻の姿はないか、懸命に目を凝らすのだが、やはり見つからない。
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