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そして、私は、何も知らないまま、元カレ宏樹と、
また3年ぶりに、お付き合いを始めた。
別れてからのこの3年、
朝から晩まで必死で働いていたから、ニュースすら見る時間もなかった。
しかし、大企業の後継ぎ息子の結婚のニュースは、結婚前から結婚式の日まで、騒がれていたようだ。私だけが知らなかったのか……
宏樹は、私が鹿児島に行った後、23歳になり、スピード結婚させられたようだ。私が都内に戻った半年後には、もう世間の熱りも冷めて、ニュースにもなっていなかった。
だから、あのケーキが姪っ子ちゃんの1歳のお祝いの誕生日ケーキではなかったことなど全く知らなかったのだ。後に、その真相を知ることになる。
しかし、宏樹は、そんなに器用な人ではないから、
奥様とは本当に、ただの政略結婚で、同居しているだけだったようだ。
だから、何も変わらず独身者として、私と付き合い、『今度こそ結婚しよう!』と言われていたのだ。
宏樹は、もう26歳になり私も25歳、そろそろお互いの人生を考えていた。
「10月2日誕生日だったよね? おめでとう!」
「もう1ヶ月も前。でも、優里に祝って欲しい!
2人きりで……」
彼の誕生日など忘れたことはない。
だから、その前にこちらへ戻って来たのだから……
また、そこから、やり直したのだ。
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