復縁

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平日の夜は、『今、仕事が忙しくて……』と言われれば、『大企業の後継ぎだもの。そうだろうな』と思っていた。 奥様とは、普段から夫婦別行動だったようで、 なるべく、土日は私とのデートに費やしてくれていた。私は以前のように、恋人として過ごしていた。 週末になると、宏樹は、私のマンションに泊まる。 なので、デートをした後は、一緒に食材の買い物をして帰り、楽しく料理を作って一緒に食べる。 そして、その後は、2人だけの甘い夜を過ごす。 最初こそ、久しぶりで恥ずかしかったが、すぐに以前のようなラブラブっぷりを取り戻し、お互い全力で愛し合っていた。 その時、まさか家には、政略結婚とは言え、奥様が居たなんて知らずに…… 今は、以前とは違う新しいマンションに引っ越したと聞いたので、「宏樹の部屋に行きたい!」と言った。 すると、何の躊躇もなく案内してくれた。 今思えば、確かに荷物が少なかった。私と別れた後に、引っ越したから、必要最低限に物を減らしたのだと言っていた。 私は、部屋を見て「ホント、スッキリしてて何も無いね」と言った。 宏樹は、1人で寛ぐための部屋を借りていたのだと思った。だから、何の躊躇もなく私を部屋へ入れたのだと…… にしては、部屋数も多く広いなあ〜とは思っていた。 まさか、その部屋が後に、私達の愛の巣になるよう何年も前から準備してくれていたなんて、思いもしなかった。
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