413人が本棚に入れています
本棚に追加
26日、私はお休みだった。
2人だけの遅めのクリスマス会をする準備を朝から始める。
そして、宏樹は仕事を終え、そのまま私のマンションへ来てくれた。
「逢いたかったよ」と、いきなり抱きしめられた。
「ごめんね、私も逢いたかったよ」と、ぎゅっと抱きしめた後、優しく口づける。
コレが、恋人がする当たり前のことだと思っていたから、何も疑わず、気持ちに抗うことなく、自然に心を寄せ合い、抱きしめ合っていた。
「優里、愛してる」
「私も愛してる」
一度別れを経験したのだから、もう二度と同じ失敗はしない。そう思っていた。
どんなに反対されても、もう自分の気持ちに嘘などつけない。宏樹と一緒に生きよう! と……
そもそも、私達が別れた理由は、若くて収入が少ない! というだけではなく、将来有望視された宏樹は、これから会社を継ぐ為に、1から勉強する身。
私は、パティシエの勉強をし、2年早く既にケーキ屋さんで働いていたのだから、宏樹とは住む世界が違ったのだ。
それに、私の両親が小さなケーキ屋を営んでいることも、大企業の後継ぎ息子と結婚させるメリットなど、何もない! そう思われたのだろう。
だから、その後、私の知らない世界で、会社のメリットだけを考えた政略結婚が行われていたようだ。
後で知ったが、奥様はとても綺麗な才女、しかもお父様も大手企業の社長様、そのご令嬢がお相手なのだから、この結婚は会社としてもメリットしかない。
企業同士の為の政略結婚だ。そんな人に勝てるわけがない。
最初のコメントを投稿しよう!