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「親からの圧力でしょうね。だから、東京へ帰ってからも貴女ずっと厨房だったでしょう?」
「はい」
「隠されてたのよ。でも、私は彼が来たら優里に会わせるつもりだったよ」
「え?」
「逃げてるだけじゃ何の解決にもならない! もちろん仕方なく、そうしなきゃいけないケースもあるけど、あなた達は、ちゃんと向き合わなきゃダメって思ってたから」
「そうなんですね」
「こんなこと言う人、他に居ないかもしれないけど。
多分、大多数の人は、不倫なんだから今すぐ別れなさい! って決めつけて言うだろうな」
「おそらく……」
「でも、彼もそこまで馬鹿なことは、しないと思うんだけど……有名な会社のご子息だからこそ、そんなことしたら、また良いネタをマスコミに振る舞うだけじゃないよ。きっと何かあると思うんだけどなあ」
「そうなのでしょうか……」
「現に必死で優里を探して再会して、また復縁してるじゃない! なのに又繰り返すの?」
「だって、今度のは……」
「だから、彼の言い訳を全部聞いてあげたら? それから判断しても遅くはないわよ。今頃、彼また必死で探してるわよ〜」
「そうかもしれないですね……」
「あ〜あ、仕事に支障が出ちゃうかも〜あ! 次期社長の座を捨てようとしてるぐらいだから、仕事なんてどうでも良いか? あはは」
「……」とても複雑な気持ちになった。
でも、私のせいで又、会社に迷惑をかけるのは、良くないとは思った。
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