408人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして、鹿児島だと思ったの?」
「優里、よく店長さんの話をしてたでしょう? よっぽど信頼してるんだなって思ってたから」
「そうなんだ」
「最初はね、いきなり古宇利島かな? って思ったんだけど、なんとなく俺も店長さんに会ってみたくなったから寄ってみた」
「そうなんだ! ホントに凄いね」
「良い人だね」
「うん、凄く良い人。大好きなの」
「そっか。もう暗くなって来たし、危ないから何処かに避難しててよ」
「大丈夫だよ」
心配してくれている。
まだ、話を聞いていないし、きっと今から凄いことを聞かされるのだろうと思った。
でも、なぜか私は永里店長に会って、この海と星空を見て、すっかり気分が晴れやかになっていた。
そして、何より、もうすぐ宏樹と逢える。
私を追いかけて逢いに来てくれている。しかも、私が一番信頼している永里店長に会って、話している宏樹だから大丈夫!
ダメなら店長は、宏樹にハッキリと『会わずに東京へ帰れ!』と言ったはず。
私に『会って話しを聞くように!』と言ったのだから、悪い話など聞かせたくないはず。
仕事も奥さんも全て置いて、私に話をする為に逢いに来てくれたのは、何より私を一番に考えてくれているから……そう思った。
しばらくして、
「優里〜!」と、大きな声がした。
「宏樹!」
「優里〜! どこ〜?」
「ココだよ!」と、スマホのライトを振った。
一目散に走って来た宏樹に、ぎゅっと抱きしめられた。
なぜだろう、昨日まで、あんなに腹が立って、怒って泣いていたのに、今は、嬉しくて仕方がない。
最初のコメントを投稿しよう!