パワースポット

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「どうして、鹿児島だと思ったの?」 「優里、よく店長さんの話をしてたでしょう? よっぽど信頼してるんだなって思ってたから」 「そうなんだ」 「最初はね、いきなり古宇利島(こうりじま)かな? って思ったんだけど、なんとなく俺も店長さんに会ってみたくなったから寄ってみた」 「そうなんだ! ホントに凄いね」 「良い人だね」 「うん、凄く良い人。大好きなの」 「そっか。もう暗くなって来たし、危ないから何処かに避難しててよ」 「大丈夫だよ」 心配してくれている。 まだ、話を聞いていないし、きっと今から凄いことを聞かされるのだろうと思った。 でも、なぜか私は永里店長に会って、この海と星空を見て、すっかり気分が晴れやかになっていた。 そして、何より、もうすぐ宏樹と逢える。 私を追いかけて逢いに来てくれている。しかも、私が一番信頼している永里店長に会って、話している宏樹だから大丈夫! ダメなら店長は、宏樹にハッキリと『会わずに東京へ帰れ!』と言ったはず。 私に『会って話しを聞くように!』と言ったのだから、悪い話など聞かせたくないはず。 仕事も奥さんも全て置いて、私に話をする為に逢いに来てくれたのは、何より私を一番に考えてくれているから……そう思った。 しばらくして、 「優里〜!」と、大きな声がした。 「宏樹!」 「優里〜! どこ〜?」 「ココだよ!」と、スマホのライトを振った。 一目散に走って来た宏樹に、ぎゅっと抱きしめられた。 なぜだろう、昨日まで、あんなに腹が立って、怒って泣いていたのに、今は、嬉しくて仕方がない。
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