411人が本棚に入れています
本棚に追加
宏樹は、俗に言うイケメンだ。
3年ぶりに見た彼は、ビシッとスーツを着こなし、
イケメン度が加速していたから、私もドキッとした。
「ふ〜ん、コレは訳ありね。あとでゆっくり〜」と、隣で笑う同僚の未知瑠ちゃん。
──そっか、宏樹、未知瑠ちゃんには会ったことがなかったな
最後のお客様が帰られ、21時前、閉店の準備をする。
厨房には、店長さんとパティシエさんが居て、店舗フロアには私と未知瑠ちゃんだけ。
片付けをしながら、
「で?」と問いかける未知瑠ちゃんに、先程のイケメンが3年前に別れた元カレであるということを告げた。
「え! そうなの? なるほどね〜あんなにイケメンなら、そりゃあ忘れられないよね〜?」
イケメンだから、忘れられなかったわけではない。
結婚まで考えていた相手だもの。ずっと一緒に居ると思っていたからだ。
未知瑠ちゃんとは、同じ歳で、お店のオープン時から一緒に働いているので、もう5年の付き合いだ。
なので、お互いの過去の出来事も話していたから、すぐにアノ半年間、私が鹿児島へ行く羽目になった原因だと察したようだ。
最初のコメントを投稿しよう!