夜の蝶とは言えない

東京都下の嫌な客さん①

東京都下で働いたお店は何軒かあるんですが、その1件での今だに酷いお客さんだったなと思う人の話です。

その当時、そのお店では私はヘルプという業務形態で働いていました。

普通に働くシステムとしては売り上げに対してのスライド式に時給があって、それと色々なバックが個々に設けられているという感じに対して、ヘルプと言うのは時給と1杯1000円のドリンクに対して100円バックとか、場内指名なら500円とか、本指名なら1000円とか、それしかもらえないという決まりです。

なので、もし指名が来ても売り上げバックなどもないし時給も上がらない代わりに、お店からはお客さん呼ぶように指導されたりもしないのです。

私は指導されるのが嫌なので、その街で働いた最後の方は、ずっとヘルプでしか働かなかったんです。

その酷いお客さんは10人くらいの団体で来ました。

ある会社の社長さんが自分の社員を連れてたまに訪れていました。

そこの支払いは社長さんがするので女の子達のドリンクは出たのですが、その日はカラオケルームに入り、あるお客さんにつきました。

その人は毎回、女の子に一気で飲み干す様に強要する人でした。

自分はお金を払う訳でもないのに、それが盛り上がると思っている人で他の一緒に来たお客さんは、それを見て少し引いている人も居ました。

その一気強要おじさんは、いい歳して、それがカッコ悪い事だと知りません。

それが盛り上がる、強く女の子に強要する事がカッコいいとでも思っている様な、とてもダサい嫌われるお客さんでした。

私はそんなお客さんに運悪くついてしまいました。

「失礼します。宜しくお願いします。」

挨拶など少しお話してドリンク交渉をしました。

「もし良かったら、私も1杯頂いても良いですか？」

「いいよ。」

「ありがとうございます。頂きます。」

しばらくするとドリンクが到着しました。

「頂きます。」

グラスをお客さんのグラスに持っていき乾杯をしました。

すると……

「それ一気して。」

「えっ、それはちょっと〜」

「だから、それ一気しなよ。」

「それは大丈夫です！」

「一気すると思ったから頼ませたのによ、一気しないならチェンジで！」

「分かりました。」

すぐに席を外しました。

確かに頑張って一気をする女の子も居ます。
良い子ぶって、一気を良いと言う人も居ます。

ですが、潰れたり、アルコール中毒や、2日酔いになったり身体を傷付ける事にもなりかねません。

私だって1杯1万円くらいチップくれるなら一気しますけど、その時のバックは1杯100円です。

身体の負担も考えても割に合わないですよね。

水商売はお話をして一緒に嗜む程度にお酒を飲む、そんなお仕事です。

飲み屋さんに来る人は女の子に何をしても良いと勘違いしていらっしゃる方が多少居ます。

こんな人は滅多に居ないのですが、こんなイラッとするお客さんが居ました。