時間の色に染まる

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「藤田さんがうまく梅酒が作れなくても、おばあちゃんの梅酒をもらいにくればいいじゃない。」 「本当、そうだった。それが一番確実だ。やっぱり琴子ちゃんは賢いよ。」 後から考えると、あの時の藤田さんは、酔っていたことを差し引いても、いつもより少しテンションが高かった。 ふと、目をやった祖母は笑っていなかったので、ちょっとギョッとしたけれど、私と目が合った瞬間、思い出したみたいに笑って、 「どうかねぇ。琴子はこう見えて、どうも迂闊なところがあるから、一番弟子になるにはまだ修業がたりないね。  でも、今決めた。おばあちゃんが死んだら、梅酒は全部藤田さんにあげることにするよ。  だからあんたは、忘れずに、藤田さんに連絡して、梅酒を取りに来てもらうんだよ。」 と、穏やかに言ったのだった。 え、おばあちゃん、死んじゃうの? 話の展開が、とんでもない方向に飛んだことにびっくりしてしまって、その時私は聞けなかった。
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