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とある行楽シーズンの週末、辰也の勤める会社と、その同業の協力会社合同のイベントで、“夢の国”といわれるテーマパークへのツアーが行われていた。主催したのは、辰也の会社の取締役会の面々だ。日頃から仕事に追われ、なかなか出会いの機会に恵まれない若い社員にきっかけを提供しよう、という意味合いであり、表だって銘打ってこそいないものの事実上の“合コン”であった。
参加したのは、各企業の未来を担う若手11人、男性が6人、女性が5人、年齢は30歳から24歳、もちろん全員が独身であり、交際相手もいない“フリー”である。
彼らは、皆、仕事上のつながりで面識こそあるものの、いずれも、それぞれの会社の窓口や現場で最低限の言葉を交わす程度、互いの素性など、ほとんど知らないのが実状であった。
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