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入場ゲートを通過した11人は、さっそく“夢の国”を満喫し始めたが、皆が一緒に行動していた。パークの中での行動は原則自由であり、特に制約はないのだが、辰也以外の5人の男性陣の注目は、明らかに彩佳であり、絶叫マシンに乗るときも、次のアトラクションへの移動の道中も、競うようにして、彼女の隣のポジションを確保しようと必死の形相を見せていた。こうなると、いちばん年下である辰也ひとりが別行動に走ろうとするのはいささか抵抗がある雰囲気だ。一方、彩佳以外の女性4人も、“合コン”に来ているわけだから、女性だけで行動をしてしまっては何の意味もない。かといって辰也とともに4対1で動くのも、なおさら違和感がある。かくして、全員が行動を共にする、合コンとしては、随分と不思議とも思えるような光景が繰り広げられていた。
彩佳も、男性との出会いを求めて、このツアーの参加してきたことは間違いないが、とはいえ、5人が競うように自分の周囲に群がっている状況に、他の女性陣に対する後ろめたさを感じるとともに、若干の疎ましさを感じていた。
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