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旧校舎の教室。中には勇人、時雨、凛の三人が居た。
勇人が一つの椅子に座り、凛を膝の上に乗せ抱きしめる。そんな光景を楽しんでいる時雨。
「あの、楽しんでいないで助けていただけませんか?」
「人の幸せな時間を邪魔するのは駄目でしょう?」
「い、いえ、助けてほしいのですが」
「私の主は鬼神様なので」
「ハートでも付きそうな笑顔で言わないでください」
何でこんなに懐かれたのか理解出来ない凛は、ただひたすらに困惑する。
困惑させている勇人は、今も何食わぬい顔で抱きしめていた。目元に巻かれている赤い布がヒラヒラと揺れている。
横目で彼の顔を見ている凛は、少し残念そうに赤い布を見ていた。
「ん? 何?」
「……なんでもありません」
なんで見られていたのか理解出来ない勇人は、凛が顔を背けた事により見えてしまった首筋に意識が落ちる。
次の瞬間。
――――――――ガブッ
「いっ!!!!」
噛まれた首筋を抑え、勇人を見る凛。その視線を受け止め、にこっと笑う。
「――――美味しい」
「…………良かったです」
もう諦め、凛が手を離した瞬間、勇人がまた同じところに噛みつき、再度同じ甲高い悲鳴が教室内に響いた。
「~~~~~~~~いきなりはやめてください!!!!!」
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