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結果は授業で教科ごとに返ってくる。軒並み90点台であることに安堵しつつ、発表される最高点にはどれも数点届かない。
「1位は原田だろうな」
「あいつ頭いいもん」
クラスの男子の声が飛び込む。テスト返し後の教室のざわめきの中、原田という名前が度々聞こえる。恐らく、幅をきかせている小学校出身の誰かなのだろう。
「本人に聞きにいく?」
「いや、答えねえだろ。でも一応部活の時に聞いてみるわ。今日のバスケ部の練習は1年男子だけだから」
原田君というのは秘密主義な人物らしい。会話の中で分かったのは男子ということとバスケ部ということだけだ。
それから、原田伊織の名を様々な場面で見聞きすることになる。
部活もすでに体験入部が始まっている。桜久は帰宅部と茶道部で悩んでいたが、小学校からの友人が茶道部にすると言うので、早々に入部を決めた。
活動は週に数回で、外部講師が指導に来るらしい。学校で最も緩い部活と評判だった。
教師は運動部を勧めているが、桜久は運動が苦手である。持久走は苦しくて息も絶え絶えになるし、ピアノを習っているため球技には親しんでこなかった。突き指をすると練習が出来なくなるからだ。
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