忘れていたもの

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『俺が戻ってやり残したことっていうか、やり直したいことは祖父との思い出です。』  ~俺が5才の時の話~ 俺は、じいちゃん子だった。 祖父の職場には、母に怒られながらもよく出向いていた。 祖父の仕事は看板を作る仕事をしていた。職場にはペンキや看板に使う板や機械などが置いていた。 じいちゃんが作った看板はよく街中で見た。 「これ、じいちゃんがつくったやつ?」 「そうだ。分かるようになってきたのか?」 「うん!じいちゃんのかんばんがいちばんかっけーもん!」とニコっと笑った。 「そうか」と真翔の頭を撫でた。 じいちゃん家に行く度に、職場に行きじいちゃんの仕事姿を見てきた。 じいちゃんの仕事している姿はかっこよかったから。 だけど、3年後。じいちゃんが急に倒れて入院した。 母には病院にあまり連れて行ってもらえず、じいちゃん家で姉ちゃんと待っていた。 「じいちゃん、だいじょうぶかな」 「大丈夫だよ、きっと。お母さんもばあちゃんも付いてるんだから」 心配する俺に姉ちゃんは、頭を優しく撫でてくれた。 数日後。じいちゃんがいる病院に連れて行ってもらった。 「じいちゃん!」と俺はじいちゃんが寝ている所に突っ込んでいった。 「おうおう、真翔。元気だったか?」 「うん!じいちゃんはだいじょうぶだった?」と目をキラキラとさせてニコッと笑った。 「大丈夫だぞ。もうすぐしたら家に帰れるからな」 「ほんとに!?よかった!!また、じいちゃんのしょくばいける?」 「あぁ。依頼も溜まってきてるからいっぱい作るぞ!」 「わーい!!おれもてつだう!」と真翔がぴょんぴょんと飛び跳ねた。 「真翔に出来んのか?」 「できるよ!おれ、じいちゃんのそばでいちばんみてきたもん!」 「生意気いいやがって」と笑いながら、真翔の頭をくしゃくしゃっと撫でた。 そして、それがじいちゃんと会った最後になった。 じいちゃんの病気は悪化し、手術するにももう遅かったらしい。 じいちゃんが亡くなってから、俺は泣いて泣いて、夜中も泣いて大変だったらしい。 そんな時にばあちゃんが俺に手紙を渡してきた。 「真翔。これ、じいちゃんからの手紙。真翔にだったよ」と優しく話しかけて手渡された。 その手紙は、その当時は漢字が書かれていて読めなかったけど小学校に上がりようやく読めるようになった。
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