忘れていたもの

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俺に対するお礼や、直接成長が見れないことなどが綴られていた。 手紙には、じいちゃんと俺の約束が書かれていた。 『お前のために用意した板があるからそれをおじいちゃんと一緒に完成させような』と書かれていた。 真翔は泣きながら、ギュッと手紙を抱きしめた。 「そういえば、じいちゃんからの手紙どうしたっけ」とボソッと呟いた。 大切にして持っていたのは覚えているのだが、家中探してもないのだった。 「真翔、出来たのか?作文」 「あー、だいたい」と優に作文を見せた。 「は?俺が寝てる間に抜け駆けしやがって」とムスッと口を膨らませた。 「お前が寝ているから悪いだろ。俺、用事思い出したからお前もう帰れ」 「えっ!俺という親友を見捨てるつもりか!お前はそんな卑怯な奴だったのか!!!」 「お前が寝ていたのが悪いだろ」 「そんなこと言うなって」と言いながら、立っている真翔のズボンの裾を引っ張った。 「あぁ゛!わかったよ。少しだけな、ホント少しだけだからな。俺、マジで用事あるから」 真翔は髪をぐしゃぐしゃっとさせて、腰を下ろした。 「な、真翔は何書いたんだ?」 「じいちゃんのこと。書いてて思い出したこともあった」 「そっか。お前、じいちゃんにずっとくっついてたよな。俺もたまに遊んでもらってたけど、いい人だったよな」と優しく微笑みかけた。 「あぁ。でも、じいちゃんからもらった最後の手紙が見つからなくてさ」 「そうなのか?部屋中探したのかよ?」 「探したよ。けど、どこ探しても見つからないんだよ」 「そっか。見つかるといいな」とニコッと真翔へと笑いかけた。 優の作文を手伝った後、親には出かけるとだけ伝え、じいちゃんの家へと出向いた。 電車から降りると、随分と景色が変わっていた。 「最近来てなかったからそれもそうか」とボソッと呟いた。 数分間、歩き続けるとじいちゃんの職場があった所までたどり着いた。 職場があった場所はさら地へと変わっていた。 「ここも随分変わったな。ここでよく遊んでいたもんな」 さら地になった景色を見て、少し寂し気な表情をさせた。 その風景を見て少し思い出に浸っているとじいちゃんの家へと到着した。 「ただいま」とガラガラとドアを開けた。 「おかえりって、真翔かい?」とばあちゃんが出迎えてくれた。
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