忘れていたもの

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「皆、過去に戻ってやり直したいことや過去の忘れ物を明日までに作文として提出すること」 先生がそう言うと、教室からはブーイングの嵐。 「やり直したいこと...な」とボソッと真翔(まなと)が作文の用紙を見て呟いた。 「いいか?明日の帰りのホームルームの時間までとする。各々書いてくるように。それでは今日は解散だ」 授業を終えて、真翔がカバンにさっきの作文のプリントをバックに入れた。 「真翔」と後ろの席から呼ぶ声が聞こえた。 「どうした?優(さとる)」 「いや、一緒に帰ろうかなって思って。つーか、作文一緒に書こうかなって」と真翔の肩に腕を回して、ニコッと笑いかけた。 「作文の内容思いつかないから俺に押し付けようって魂胆だろ?見え見えだっての」と 真翔が優のおでこにデコピンをした。 「痛っ。お前はなんでも俺のこと分かってるよな」 「分かりたくなくてもお前とは長い付き合いだからな」とため息をついた。 「ってか、俺ら高校生だってのに過去にやり直したいことって限られるくね?」 「確かにな」 真翔は歩きながら空を見上げて考えていた。 「どこで作文書く?お前の家?それともお前の家?」 「俺の家しか選択肢ねぇーのかよ」 「いっひひひ!真翔の家行きたいじゃん!お前ん家マジで落ち着くよな。母ちゃんも姉ちゃんも優しいしな!」 「笑い方気持ちわりぃ。顔だけはマジでキラキラしててイケメンだもんな」 「え?それ俺褒められてる?まさかの真翔のデレ発動?」とニヤニヤして笑っていた。 「うるさい、クソイケメン。家にあげないからな」 「えっ!あげてくれんの?待って待って!」 真翔に家に着き、部屋へと上がり作文を2人は取り出した。 「で、何書くんだっけ?」 「過去に戻ってやり直したいことだろ?」 「そうだった!!で、真翔何書くんだ?」 「俺は...いやお前には教えない」と口元に人差し指を立ててニヤッと笑った。 「ちぇー、ケチ。ま、とりあえず書くか」 2人で黙々と書き始めたが、優はため息をついて後ろに寝転がった。 (俺の過去に戻ってやりたいことは...) 真翔はペンを滑らせた。
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