恋の神様がくれた飴

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鏡の前に座ってメイク道具を広げる いつもより丁寧に いつもより可愛く 買ったまま使っていなかったグロスも塗った クローゼットの扉を開けて悩むこと数分 次々とベッドの上に重ねて考えて 四つも上を考慮して選んだ服は 絶対着ないかもとタグが付いたまま置き去りだったワンピース たまたまみよと店で会って 選んでくれたみよ好みのお嬢様風 「えり、え~~り~~」 階下から母の声が聞こえた 「ん?」 扉から顔を出すと 「土居さんが来てるわよ」 弾んだ声に笑顔が溢れている 「・・・え」 まだ一時間も経ってないと慌てる私に 「お父さんとお茶を飲んでるから ゆっくり支度していいからね」 母はわざとらしく片目を閉じた 「・・・わかった」 そう答えたものの、流れからいけば 間違いなく両親に冷やかされる 「・・・ハァ」 ため息を吐いてみたところで 先に分かった方が付き合いやすいのかも まだ始まってもない土居との駒を進めた自分がいた 何度も鏡で確認して大きく深呼吸するとリビングルームへの扉を開けた 「お待たせ」 恐る恐る声をかける 「早く来すぎちゃってごめんなさい」 土居は振り返って頭を掻いた 「えり。こっちに来て座れ」 手招きする父は 「お前ら付き合ってるのか?」 近付いた途端、直球を投げてきた 「・・・え、と」 答えに困る私の隣で 「はい社長。ご挨拶が遅くなってすみません」 土居はサラリと答えた 「・・・っ」 驚いて土居を見ると 真面目な顔で父を見ていた 「そうかそうか 良かったなぁ、母さん」 父は嬉しそうに母を見つめる 「土居さん。えりを宜しくお願いします」 うんうんと嬉しそうに母は頭を下げた 「はい。こちらこそ宜しくお願いします」 土居は父に向けたものと同じように 母にも笑顔を見せて 「今日はデートなのでこれで失礼します」 そう言うと両親の前なのに堂々と手を繋いできた
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