恋の神様がくれた飴

16/27

457人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
息も続かないような激しい口付けに翻弄され身体が熱を帯びてくる やがてその口付けが終われば 熱い唇が肌を滑る 堪らず吐き出した吐息も 「えりさん可愛いよ」 土居が受け止めてくれると思うだけで 強張る身体の力は、少しずつ、少しずつ解けていった 。 「えりさん・・・」 オデコに口付ける土居に気付いたのは カーテンの隙間から見える空が赤くなってからだった 「身体、大丈夫ですか」 正直、重怠くて動かせそうもない 「僕、嬉しくて、暴走してしまいました」 そう言う土居は、シュンと耳を垂らした犬みたいに見える 「・・・ん、なんとか大丈夫だから」 絞り出した声は掠れていて 土居は「無理をさせてごめんなさい」と抱きしめてくれた 「えりさん。僕、 えりさんをずっと大事にします」 「・・・うん」 頬にかかる髪を耳にかけて微笑んだ土居はそのまま耳にキスをした 「・・・っ」 その甘い唇にフルッと肩が揺れる 反応を確かめるように耳に刺激が加わるだけで 動かせそうもない身体の奥に熱が灯った 「もう一回」 「・・・え、まだ、痛いの、たぶん」 戸惑っているうちに 「これは数をこなさないと ずっと痛いんですよ」 ちゃんと考えれば分かるような 下手な言い訳にも 「ほんと?」 経験値ゼロの私は騙される以外の選択肢がなくて 「それに僕、えりさんよりも四つも若いから、パワーが余っています」 畳み掛けるように出された“四つも若い”に 土居に身を委ねることを選び さっきより少し痛みの薄れた身体は 甘くて熱い舌と手に翻弄された 。 「無理をさせてごめんなさい」 少し汗ばむ土居の腕の中も 居心地は良くて 「うん」 身体は辛いけど許してしまう 「えりさんコーヒー飲みましょう」 手を引かれて起こされた身体には無数の赤が散らばっていた 「・・・っ」 「僕のものって印です」 恥ずかしさに顔を手で覆うと その手にリップ音がした 結局のところ コーヒーは土居がベッドまで運んでくれて 飲み終わると一緒にシャワーを浴びた 土居はしょっちゅう「好き」と口にする それが 「えりさん好きだ、すげぇ好き」 とびきり甘くもなるから少々むず痒い 「離れたくない・・・ずっと」 更に甘く、心地良い言葉に 大事にされる自分が 嬉しくて、嬉しくて・・・ いつの間にか涙が溢れていた 「えり、さん?ごめんなさいっ 僕が何度も求めたから身体が辛いですか?」 慌てるところも、大事そうに頭を撫でてくれる手も 愛おしいと思えるあたり 私にも同じ想いが宿っていることを実感できた 「違うの、大事にされるって嬉しいなって思ったら涙が出ちゃった」 「・・・えりさん」 ギュッと胸に閉じ込められて聞いたのは 「大事にします・・・僕 死ぬまでえりさんを大事にします」 慰めるだけじゃない甘い魔法のような言葉 「勇人・・・好き」 「・・・えりさんっ 僕も、好きでたまらない」 息苦しい程抱きしめられるだけで いつから泣き虫だったのか 片意地を張った私が消えると ただの弱い女が顔を出した
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

457人が本棚に入れています
本棚に追加