恋の神様がくれた飴

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「あ、ごめん。なに?」 少し焦って見上げると 「大学の時の友達とバーベキューやろうって話になったから、次の休みは河川敷です」 「・・・勇人の友達 えっと・・・私、遠慮したい」 俯きながら溢した声に気付いた土居は ギュッと腕の中に閉じ込めた 「えりさん今、年上だから嫌だって思ったんでしょ?そうでしょ なんで?僕の彼女って紹介されるの嫌なの?」 「嫌じゃないよ・・・ただ」 「ただ?」 「彼女って紹介したら勇人が笑われないかなって」 「も〜怒った! えりさんはいつまでそういうの? 誰にも紹介せず隠していれば良いの? 僕はイヤだ。えりさんを皆に紹介したい もしかして僕の彼女ってことがイヤなの?」 「・・・」 「じゃあもう付き合いをヤメますか?」 まさか極論に達するとは考えもしなくて、言葉が出ない代わりに涙が溜まり始めた 「もう、うそだから えりさんはどうしてそうなんだろう 自信がないの?四つしか離れてないのに」 ・・・分かってる 分かっていて卑下する癖みたいなもの 本当は自分が一番年の差を気にしているのかもしれない そして毎回否定して欲しい “違うよ可愛い彼女だよ”って 面倒臭い自分の性格にため息を吐きだせば 「もう今夜も帰しませんからね」 少し怒った顔の彼が見えた 「・・・ごめん、ね?」 ギュッと抱きついて 少し早い鼓動を聞いているだけで なんだか凄くホッとした そのまま二人でお風呂に入って 彼シャツに着替えると、ビールを片手にバルコニーへ出た 手すりにもたれながら眺める街は ユラユラと輝いていて 綺麗だねって言おうとした途端 「えり・・・結婚しようか」 聞こえてきた土居のプロポーズに 一瞬で溜まった涙が溢れ落ちた 初めての呼び捨てが プロポーズなんて 嬉しくて・・・幸せ 「・・・はい」 「ありがとう。一緒に幸せになりましょうね」 「・・・うん」 「社長に挨拶しなきゃ」 笑ってビールを飲む土居の目にも 涙が溢れていた
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