恋の神様がくれた飴

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ーーーーー週末 土居の部屋に泊まった翌朝 有名な河川敷公園へと向かっていた お揃いのスニーカーにジーンズスタイル。防寒着のジャンパーは色違い 恥ずかしいだけのペアルックも、晴天っていうだけで楽しい 早起きして少し多めに握ったおにぎりと浅漬けを密閉容器に入れて 飲み物とお菓子を少し買い足した 三十分程で到着した河川敷公園は 水面からの反射でキラキラ眩しい 「晴れて良かった」 背伸びをした土居に声を掛ける 「冬だけどって日焼け止め塗ってたのに?」 ククッと喉を鳴らして笑う土居は意地悪な顔をしていて 悔し紛れに 「女子は色々と大変なんです~」 ペロッと舌を出した 「「「「お~い!」」」」 男性が三人、土手の下から手を振っている 「お~~すぐ行く~」 それに応えた土居は 「えり行くよ」 クーラーボックスを持ってないほうの手を差し出した 「うん」 友達の輪の中に合流し自己紹介をした 大学生のようなノリで冷やかされ 楽しいバーベキューになる はずだったのに・・・ 「土居わりぃな。 どうしても香織が行くって聞かないから連れて来てんだ」 金田君が申し訳なさそうな顔をした 「なんだよ・・・それ」 露骨に嫌そうな顔をした土居に 「えりちゃんごめんね 香織って大学のサークルの後輩なんだ」 高木君は私にも申し訳なさそうに眉を下げた ・・・なんで謝るの? そう思いながらも 「大丈夫ですよ、人数多い方が楽しいでしょ」 受け入れるしかなくて そんな私の変化に気付いた土居は 「えり、ただの後輩だから」 そう言って笑った ・・・益々気になる 単なる後輩に友達が眉を下げたりするだろうか 不安に思いながらも バーベキューの準備を始めたから 手伝いの忙しさに忘れていた 「土居センパーイ」 甘い甘い声を上げながら土居に駆け寄る 多分、元カノは高木君の彼女と一緒にやって来た 「お久しぶりで〜す」 やたらユラユラ揺れながら 土居の隣に立って腕に肩に、背中に触れる ・・・触らないで 立ち上がるのは醜い思い それを深い呼吸で逃そうするのに 上目遣いでやたら前髪を直す元カノは、未練たっぷりの様子 「久しぶり」 素っ気ない態度の土居は私の視線に気付くと、元カノを避けて私のそばに来て 「僕の彼女の山下えりさん」 紹介してくれた 「へぇ」 それに対して小さく呟いただけの元カノは自己紹介をするどころか私のことを完全に無視した 「先輩、そういえば。あの店まだやってるんですよぉ」 更には私の入り込めない話を並べ始めた 腹を立てても仕方がないから 作ってきたおにぎりをテーブルに並べる 周りに紙皿やお箸も用意する 高木君の彼女が気を使って 話し掛けてくれるから 気にならなくなっていたのに 突然背後の二人の雲行きが変わった
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